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ダンボールと母の思い出

ダンボールの箱を開けると、母の思い出が詰まっていた。母が亡くなって一ヶ月。遺品を整理していたら小さなダンボールがでてきた。それは小さくて赤茶けたダンボール。印刷された文字も色あせて見にくい。フタの部分には昭和25年12月と日付だけが母の文字で書かれている。懐かしい文字だ。小学生の頃、国語の成績が悪かったので、いつも漢字の練習をさせられていた。彼女はその文字で丁寧に私の文字をなぞってみせた。懐かしい思い出だ。箱の中には、更に小さい箱が二つと、手紙の束が入っていた。どうやら父のもののようだった。父は終戦の年、兵器工場で働いていたという。母とは幼なじみだった、戦争のおかげでほとんど会う機会もなくなっていた。終戦後、けがでしばらく働けなくなった父は、実家に戻り、療養をしていたそうだ。その間、度繁く見舞いに来ていたのが母だったらしい。その後父は、親戚の計らいで少し遠くの鉄工所で働くことになったが、つき合いは続き、結婚したのが昭和25年5月。ダンボールの手紙はその頃のものだろうか。手紙の中をのぞこうと思ったが、何となく勿体ない気がして見ることができなかった。手紙は大切に段ボールにしまわれていたのか、色あせてはいたが、時間の経過をあまり感じさせないくらい、当時の雰囲気を漂わせていた。私はその手紙をそっと取り出し、大きな茶封筒に入れ、お墓に持って行った。「母さん、大切な思い出の品だよ。」私はお墓に手を合わせて、そっと封筒を墓前に供えてあげた。


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いままで大切にあたなを育ててくれた両親の思いは色々あると思います